■ シールの再施工
2016年7月14日 晴れ 1日遅れてシール工事が始まりました
パルコン板はシース筋に壁の底から刺さって隣のパルコン板とコッターで隣り合うしくみです。そういったコンクリート板同志の間を埋めるのが黒いゴム樹脂のバックアップ材であり、その上に白い発泡樹脂(発泡ポリエチレン)を詰めます。最後に乾いても伸縮するシール(ゴム状)を埋めつつ塗り延ばして雨や雪から水が浸入するのを防ぐわけです。 側面の壁だけでなくベルコニーや庇(ひさし)部分もPC板ですから、組み立てたときに接する部分には隙間ができますので、防水塗装などを使って防水します。雨漏りが起こる可能性が高いのは継ぎ目や段差の構造部分と覚えておけばいいでしょう。
参考:我が家の新築当時の記事がこのページ(2006年2月17日の記事)にあります
・家右衛門邸 新築当時の記録より
2016年7月14日 木曜
古いシールと充填材を剥がしながら新しい充填剤を入れてシールを打っていきます。
カッターで溝のシールの両脇をシャ〜〜ッと切りギュウ〜〜ッと引っ張って剥がします(大量のカッターの折れ刃が残っていました)。ゴミ袋(廃棄袋)に大量の古いシールがまとめて入れてありました。よく見ると表面側は壁の灰色もしくは玄関のブルーグレーですが、横と内側は真っ白です。綺麗なもんです。逆に内部が汚れていたら漏水していたことになるのでしょう。
充填材は発泡ポリエチレン(白い樹脂)ですが、これもゴミ袋の中にありました。直径10mm のものが少々。つまり新規に用意したものを充填して余った分でしょう。ゴミ袋は3つほどあり、そのひとつに古い発泡ポリエチレンもありました。直径20mm程度、長さ30cm程度、これも状態は綺麗なものでシールが10年間しっかり効いていた証拠でしょう。つまんでみても柔軟さを失わずまったく新品のようですが、両面が少し平坦に変形しているので、あえて判別できます。
全部の古い充填材/発泡ポリエチレンを入れ替えたのどうかわかりませんが、あたらな発泡ポリエチレンは直径10mmを詰めてシールしているようです。
このへんの理由を現場監督、いや、リフォーム営業担当者に訊ねてみましたが詳しい事情は御存知ないようで、シール剤の量は以前より多めになるからヨロシイのではないか、という回答でした。う〜〜む。
ここで使っている材料を以下にまとめてみました。
# 充填材/発泡ポリエチレン(白色): ライトロンロッド KDR 3010 サイズ10mm 長さ 250m SEKISUI 積水化学工業株式会社
# シール材(コーキング材):HAMATITE UH-01NB 缶入り2溶液(主剤と硬化剤)ノンブリードタイプ ポリウレタン系 YOKOHAMAゴム
# シール用プライマー(密着を良くする下地塗料): HAMATITE No.30 YOKOHAMAゴム
シール材は缶入り2溶液(主剤と硬化剤)を混合して使うタイプ。新築時と同じヨコハマゴム製で安心です。余談ですが家右衛門は自分の車には原則ヨコハマゴムのタイヤを履くことにしています。摩耗に強く亀裂が起こらずワックスの乗りもイイ。コンチネンタルやブリジストンはすぐにヒビ割れて表面も白くなりがちですが、ヨコハマゴムは長年信頼を寄せるメーカーです。
ノンブリードタイプとはコーキング材の表面が変性して汚れを吸着し黒ずんでくる「ブリード現象」を起こしにくいタイプのことです。2液を現場で混ぜて使いますが、どんどん硬化するのでしっかり手早くゆっくり混ぜる必要があります。ちゃんとしたシール屋さんはシール業界の現場で絶対的な信頼を受けるミキスタを使うことが多いのです(ミキスタ工業株式会社の撹拌機はゆっくり回転するのだ)。攪拌機はさすがにゴミ袋の中には残っていないので、ホントにちゃんと混ぜて作業したのかわかりません。それを知るにはどうしたらいいのでしょう? 現場で直接見ていればいいのですが自分も仕事で不在。それなら現場監督代わりのリフォーム営業担当者に訊けばいいですね? まさか? 営業はそんなこと知りませんよ。
そう!そんなとき思い出してほしいのが工事日報です。大成建設では「KYリスクアセスメント表」といいます。さきほどの赤い箱にヘルメットと一緒に入っています。新築のときにも説明しましたね。見たらちゃんとミキスタの記載がありましたよ。このシール職人は几帳面な人で、毎日欠かさずキッチリ日報を書いていました。仕事の内容もこういった一面から察することができると思います。
プライマーは一般的には下地という意味合いがあり、その上に塗る物質をくっつきやすくする役目があります。しかし、ここでは脇役ではなくシール材の UH-01NB は、このプライマーHAMATITE No.30がないとくっつきません。とても大事な役目です。
シール材(コーキング材)の種別は大きく3つに分けるとシリコン系(浴室の目地など塗装しない箇所に使用)、ポリウレタン系、アクリル系ですが、上から塗装するならポリウレタン系。ポリウレタン系は紫外線に弱いのが一般的なので、むしろ塗装しないと早く劣化するわけです。
古いシールの上に「打ち増し」だけでコストを下げてごまかす業者もいるそうですが、今回も現場の残留品と工事日報などをひととおり確認し、現場を見て営業担当にも確認の電話をいれるなどしてチェックします。間違い無くすべて剥がしてマトモな材料を使って正しく「打ち替え」されているようです。
新しいシールを打つときには溝の両脇にマスキングテープを貼ります。そして半生状態のシールをヘラで埋めてゆき、半乾きの状態で両側のマスキングテープを剥がします。今回のシール職人は青色のマスキングテープを使っていました。
ゴミ箱は情報の宝庫なり
ん〜〜〜、といいますか昼間は私も仕事をしているので、立ち会える日は限られます。新築のときは第三者管理も雇いましたし、自分でも足繁く現場に通いましたが最近は体力と時間に限りを感じます。夜遅く帰宅してもちゃんと痕跡は残っているのですから、可能な範囲でできることをやって状況を把握しようと努力するわけです。
はい。そんなわけで天候の都合などありましたが 7月19日 にシールの打ち直し工事を終えました。おおむね4日間かかりました。小さいパルコンであるせいか終始職人はたった1人で作業していました。毎朝9時1分前にインターホンで作業開始の挨拶をしてくれて、帰りも進行具合を報告してくれました。私が不在で帰宅した時はメモを玄関に貼ってくれていたので安心感がありました。こういうマメな人が手抜きをするとは思えません。ホントに暑いなかお疲れ様でした。 どんな業種/職種であれ、良い仕事をした方に対しては最大限の敬意を払うのが自ら職人としての家右衛門の流儀です。
参考までに剥がしたシールです。新築した10年前のものです。 見ると薄い部分もありますが両脇はしっかり接着されていました。たいていはシールのオナカが割れてきますが、それでも浸水するまでは奥まで亀裂が進行する時間的猶予があります。問題はむしろシールの脇が甘いと一気に剥がれて隙間から浸水しやすく深刻です。原因として、施工不良は大きいです。雨漏りが発見される場合はシールの両脇密着が甘いこと(施工不良)が多いようです。御注意あれ。
次は高圧洗浄です。続きはまた次回 ... 。
記事: 2016年 9月 13日
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