■ 基礎立ち上がり部の打設
2006.1.30(月) 晴れ 朝は気温7度
今日は立ち上がり部分のコンクリート打設です。現場に到着して温湿度計を設置し、しばらく放置したのち表示を見てみてると気温8度 湿度45%です。ここ数日の天気からいえば暖かい日和。S監督は今回は不在ですが現場の職人さんたちと第三者監理会社のM氏とで進めていきます。
段取りはすでに決まっているので基礎の現状確認しながら最初に散水を始めます。ポンプ車も到着して準備しています。監理のM氏はさっそく深基礎部分の型枠内に木屑を発見。他の場所も異物/ゴミがあると困るので現場の皆さんに指示を出して除去してもらっていました。釘や結束線や落ち葉やその他の異物は案外残っているものです。散水は型枠内はもちろん耐圧盤にもまかれています。
立ち上がり部分の上面(天盤)にはシース筋がコンパネで固定されています。よく見ると結束線で微妙に位置を調整してあるのがわかります。シース筋は建物の壁などを支持するための鉄筋ですが、シース(sheath)とは刀のサヤの意味で万年筆のキャップのように収まる構造を意味します。つまり壁側には穴が開けてあってそこへ基礎からの鉄筋が刺さることになるわけです。壁の支持というより位置決め的な役目と考えたほうがよさそうです。詳しくはのちの行程の「建方」で写真をもって説明します。
天盤の幅の固定はよその現場で金物を使っているのを見たことがあります。あえて注文をつけるならば金物でやって欲しかったなぁ。なぜならこうやってコンパネで覆うとその覆った内面はコンクリート打設後に押し固めや再振動がかけにくいのです。また、内部の空気や反応に不要な水分が上昇するため仕上がりが月面のクレーター状になります。大きな問題ではありませんが...。
シース筋はL型に曲げられて型枠内部に収められ次の写真のようにニョキニョキと垂直に立っています。穴の開いたPC壁が上から乗っかるワケですから正確な位置にあるべきです。見たところ傾きこそありますが配置はまっすぐです。
ポンプ車はブーム(腕)を延ばしてホースが敷地の奥まで届くか確認しています。規模が大きな建物ではこのタイプのポンプ車では届かないことがあるようです。打設中に「あれっ? 届かない」なんてことになると困りますね。我が家は狭くてよかった....? また、ポンプ車の構造で基本的には詰まることはないらしいのですが生コンの中にセメントの塊や異物が混入してホースで詰まることはあるといいます。詰まったら叩きながら調べて除去するらしいです(監理のM氏談)。
ちなみにポンプ車のおじちゃん(ポンプ親方...といっても一人なんだけど)はまだミキサー車が来ないうちから少量のセメントをポンプ車後部のシンクでコネていました。はて? 何をしているんだろう? 忙しそうだったので質問しなかったのですが、その作業はおそらく前もって骨材の無いゆるいコンクリートをひととおりホースに流してなじませておくためだと推察します。そうすることで詰まりが防げるとか作業がしやすくなるのでしょう(たぶん)。 そして今回も証拠の空き袋を現場に残していくのです。さすらいのポンプ親方。
ポンプ親方が待機しているところへミキサー車(生コン車)が登場。ベースコンクリートのときと同じプラントです。今回のコンクリート量は1台で足りるようです。これまた小さい建物でよかった.....? 運転手とミキサー親方は兼任で若い青年が一人です。次の写真でミキサー親方が写真のどこにいるか確認できますか? こんなところ(赤矢印位置)に立ってポンプ親方と連携しながら打設作業に参加してたんですね。
伝票を見ると呼び強度が33、スランプが15で指定してあることがわかります。今回は工場を出発してから現場に到着するまでの所要時間も短い! きっと家右衛門ホームページで仕事ぶりをアピールしてほしくて運転手(ミキサー親方)がドリフトさせながら猛スピードで飛ばしてきたものと思われます。
さっそく搬入試験です。前回の耐圧盤打設のときと同じく第三者の検査が入ります。さっそくサンプリングしてスランプ試験や温度計測を行い、塩化物量や空気量試験を手早く行います。6本のサンプルはもちろん1週間後と4週間後の強度を調べるため。この試験には監理会社のM氏も立ち会って写真を取りつつ記録を付けていました。今回もスランプは15cmに対して17cmとややゆるめですが監理のM氏によると許容範囲はこのカテゴリ(8〜18cm)だと+-2.5cmだそうです。空気量はJISによると4.5%+-1.5%なので4.9%なら問題無し。
じつはことのとき私が「見せてほしいんですけど....」ということで写真を撮影しようとしたら検査員の方が片付けをはじめていたものを再び広げて設置してくれたのです。以下の写真もそうです。この業界ではゴム長は必需品のようです。しかも説明までしてもらってたいへん恐縮した次第です。興味をもっていることに共感してくれたようで嬉しかったです。
さて、いよいよ始まりました。前回の耐圧盤と違うのは平たく押し延ばしていくというよりも今回は型枠内で盛り上げていくという具合でしょうか。このような住宅建築の基礎ではほとんど問題になりませんがマンションのような高い位置にホースをおいてコンクリートを落とすと空気が入りすいといいます(1回の打設量の高さが決まっている)。この日、注入担当のおじちゃん(ポンプ親方)は手袋を付けた手でコンクリートの噴出する勢いを殺しながら流し込んでいました。
バイブレータを使っての振動は施工の解説書によるとコンクリート注入時は流れ出す先のほうを振動させるのではなく溜まった手元側からかけたほうが良いらしいです。まぁ、そうはいっても不具合が出ないようにやっていただければ方向はどちらでもかまいません。監理のM氏はバイブレータをもっと型枠の底部までかけるように指示していました。その理由があとでわかったので型枠を外したときに報告します。
監理のM氏いわくバイブレータにも2種類ぐらいあって一般のモーター式と高周波式。高周波式のほうが廻りが良いらしいです。この規模の基礎だったら問題はないが大規模なマンションは高周波式が良いとのこと。
打設作業は上の写真のとおり...... 左端に写っている監理のM氏が見守りつつ問題があれば指示を出します。青い作業服のポンプ親方が例によってポンプタイフーンベルトで流量調整しながら流し込み、灰色の作業員のおじちゃんがバイブレータをかけ、両脇の紺色ジャンパーを着た2人がコンコン係(型枠を叩いて空気を抜く)というわけです。同時にシース筋の垂直度調整なども行います。ここには写っていませんが先に説明したミキサー車にもミキサー親方が1人待機していて指示どおりにコンクリートをポンプ車へ送っています。オマケで施主の私が全員にプレッシャーをかけながら?撮影係です(たんに施主が邪魔をしているだけにも見える)。総勢7名ということになります。
で........ 上の写真をよ〜〜〜〜っく見てください。じつはこの日、偶然にも隣のお宅も基礎のコンクリート打設日なのです。背景に写っているように2人で作業しているようです。そう! 2人でもやればできるんですね。コンコン叩いてはいませんでしたがとても器用に動き回っていました。むしろウチは総勢7名でやっているのでさぞかし近隣の工事の方々から見ると異様な光景に映ったかもしれません....。
1時間ぐらいかかったでしょうか。基礎を一周してすべての立ち上がり部分の打設を終えました。立ち上がり部分はどの位置も同じように見えますが詳細にいえば欠込み部分や断熱材部分など基礎のエリアによって型枠は工夫されています。次の写真は深基礎部分の打設前と打設後の状態です。このあと作業員の皆さんが全域のシース筋をグリグリ動かしてなるべく垂直になるように微調整していました。
あとで天盤部分をコテでならすのだそうです。できれば密度を上げるべく強めに押し固めて再振動かけて欲しいのですが......。職人さんは目の前にいますが決して施主から直接指示はしません。監理のM氏をとおして訊いてもらったところ、このあと2時間ぐらいおいたのち天盤のならし作業を行うらしいということがわかりました。
【施主からの指示は監督か監理へ】
施主は基本的に直接職人さんに指示してはいけません。時々、施主が現場の職人さんに直接注文を付けてトラブルになった例を耳にします。私は職人さんに技術的な質問をして教えてもらうことはあっても変更を指示したりといったコトはルール違反と考えています。職人さんは自分のポリシーでシゴトをするものだと思うのです。私が職人の立場だったら自分の仕事に意見されるのを決して快く思いません。職人さんの素材の扱いや加工のノウハウ、その道の経験と知識を尊重せねばなりません。そして現場の状況を把握し運営する責任者は現場監督の役目。私はクライアント的立場であってディレクターではありません。施主というのは現場で明らかな不具合や間違いを見つけたり「こうして欲しい」ということがわいてくるものです。でもその場はグッと我慢して職人さんではなく監督さんまたは監理に相談・指示するという、一定の規則を守ることでプロジェクトの見通しが良くなり余計なトラブルを防げると考えています。
工事の行程が進むにつれて内容が変わると施工業者も入れ替わり立ち替わりします。そんなとき、窓口は基本的に現場監督です。家右衛門語録に追加しておきましょう、
「仕事は忙しい人に頼め」
ん? なんか違うような気もしますが。中国の古いことわざにも同じようなのがあったかも....。
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