■ 配筋検査(社内検査)
というわけで配筋検査の時間です。検査といってもハウスメーカーの大成建設がその大成建設の社員を使って下請け会社の施工業者を検査するわけです。考えようによっては自問自答といいますか身内ということで検査したフリもできます。問題箇所があっても見逃すことができるわけです。建築物の瑕疵責任の法はあるものの結局は現場の職人次第です......まぁ、当サイトの記事を今後も引き続き御覧になれば現実のなりゆきが見えるかと思います。まずはお手並み拝見といきましょう。
2005.12.27(火)この日私は朝8:30に現場へ到着。前項の記事にも書いたようにやり残しの配筋作業を取材したのち現場周辺を散策。周辺の道路の幅やどんな施設が建っているかなどチェックしました。1時間後に現場に戻ってみると、ちょうど大成建設の検査官A氏と現場監督のS氏が車で到着したところ。いいタイミングで登場です。 A氏は検査官がゆえでしょうか、私の受けた印象はドッシリとして経歴も長そうで一見すると三国蓮太郎風の重厚感があります。以下検査官A氏を三国蓮太郎と呼ぶことにします。
配筋検査はこの日は大成建設の三国蓮太郎とS監督そして配筋施工業者2名。図面をもとに巻き尺で各部の寸法を測りながら丹念にチェックしていきます。鉄筋同士の間隔、使用する部位ごとに決められた太さ、コンクリートのかぶり厚さ、端部の曲げ処理方法、結束状態などをチェックしているようです。根気と集中力のいる仕事です。三国蓮太郎は常に厳しい表情で巻き尺と図面と現況をチェック。そして現場監督のS氏はみずからハッカーを手に不足箇所の結束や増し締めをやっています。監督というと指示するのがシゴト、というイメージもありますがS氏はこの日積極的に自分の手を動かしていたのが印象的でした。私としてはこのように口より手を動かす人を信用したい....... 。
検査が終わる頃にあれこれ話をうかがいました.....。
【三国蓮太郎の話】
私も昔は木造軸組構造の家に住んでいたんですが地震があると家がいろんなゆがみかたをして怖かったです。現在ではパルウッド(空間王が出る前のパネル)の家に住んでいますが地震がきても余裕です。「あぁ....地震だな....」といった感じですよ。木造であってもパネル工法だと船のように全体が揺れるので怖くないです。検査はずっとやっていますけど以前は布基礎が多かったのですが最近は地震のせいかほとんどベタ基礎になってきていますね。
【現場監督S氏と家右衛門の会話】
家右衛門:「工程表によると配筋が終わっても年を越してコンクリート打設までだいぶ日数がありますが鉄筋のサビはどうなんでしょう? 監理会社の担当者は少しのサビは問題ないといっていますが。」
監督S氏:「鉄骨のサビは表面のものは強度的に問題ありません。コンクリートの付きも良いです。ただ、進行して剥離するぐらいのサビであれば研磨が必要です。」
家右衛門:「捨てコンはポリエチレンのシート上に打たれており、その上に配筋がありますね。」
監督S氏:「そうです。この上から基礎のコンクリートを打設しますからシートはこのまま埋め殺し(そのまま埋めてしまう)になります。」
家右衛門:「一部の配筋壁で蛇行が確認できます。さっき施工業者が太い角材でガンガン叩いてなおしてましたけど、大丈夫ですか? 充分なかぶり厚はとれるんでしょうかね?」
監督S氏:「多少は蛇行していますが現時点では捨てコンの上で曲がっているだけですので問題ないでしょう。鉄筋と外枠までのかぶりは社内では5cm厚になっています。基礎の厚みは95mm+105mm=200mmとなります。」
家右衛門:「検査で問題箇所はありましたか?」
監督S氏:「前の深基礎部分(増し打ち部分)は縦の鉄骨配置の間隔(ピッチ)が20cmでなければならないところが25cmになってしまっています。ここはやりなおすとむしろ手間なので間に1本づつ入れさせます。従って通常よりも配筋の密度が上がります。あと、玄関の2本のRESのパイプが露出している部分は誤って掘りすぎたためで、あとからラップルコン(コンクリート)を埋めて補います。奥のほうの斜めになっている数本の鉄筋もあとでなおさせますし落ちている結束線や荷札等のゴミも綺麗にします。」
ということでした。他にもあれこれ教えてもらいました。帰宅して調べたところポリエチレンシートは床下の防湿の役目を果たすそうです。蛇行する箇所はこのあとの型枠工事で再度チェックしたいと思います。作業員が叩いていたということは修正が必要な証拠だと思いますが...。鉄筋コンクリートのかぶりの厚みは公庫などでは4cmぐらいでしたっけ。いずれにせよ型枠作業を待つことにします。
それから数日後、現場で配筋の問題箇所の是正がなされていることを確認しました(以下の写真)。さすがS監督です。
深基礎(増し打ち)部分の鉄筋のピッチが25cmであった箇所はその間に1本づつ鉄筋を加えたわけですから12.5cm間隔です。実際に計ってみたらもともと23cmの間隔の場所も多く、平均して10cm程度になったのでした。姉歯設計事務所じゃありませんが配筋を減らす話はよく聞きますが増量してもらえるとは嬉しい限りです。さすが大成建設です。幸か不幸か、怪我のなんとやら..... 。写真のとおりやたら高密度な配筋となりました。まさに逆姉歯方式というべきか逆木村建設状態と呼ぶべきか........ 。コンクリート打設時にジャンカや空洞ができないように作業員が丁寧に流し込んで固めてくれることを期待しつつ...。
【第三者監理の会社のM氏との確認】
第三者監理会社の配筋検査は大成建設の社内検査から数日後(2006.1.6金)に実施されましたが上記箇所を含めていくつかの指摘がありました。検討箇所5件をS監督に確認したのちどんな回答があったか私へ報告してもらうことにしました。玄関のラップルコンと南側壁の蛇行については型枠作業の頃にチェックするとのこと。あと、冬季のコンクリート打設に不安を持っていた私は監理会社のM氏に前もってコンクリートの温度補正やスランプ値などの素性を知ることはできないか相談してありました。その報告は以下のようなものです。
第三者監理の会社のM氏談:
「耐圧板の打設と立上がり部の打設は2回に分けて打設するでしょう。一般の住宅では最近テレビで報じるようないわゆる水を増したシャブコンは基礎に対してまず使わないです。ビル建築の窓枠など打設しにくい場所に行われることはあります(バイブレータが効かない箇所)。使うコンクリートについては大成建設の監督S氏に聞いておきました、24kNを基本として強度を増すために+3とし、さらに温度補正で+6つまり24+3+6=33kN を採用するようです。スランプ値はコンクリート入荷時に伝票から判断することになります。耐圧板の打設は午前中のような早い時間にしないと夜は凍結の恐れがあります。耐圧板は通常は養生しませんが立ち上がり部分の養生は監督のS氏へ尋ねたところ検討して行うとのことです。」
第三者監理の会社での配筋検査での指摘箇所:
(1)深基礎の20/25cmピッチ
(2)玄関の掘りすぎ
(3)南側の蛇行
(4)配筋図面のFG3の途中の配筋端部の処理方法
(5)配筋図面のFG1補助筋の間がひらいている
コンクリートに関しては呼び強度やスランプ値もさることながら肝心なのは打設する作業員にかかっていると私は思っていますので、これ以上は材料の素性は追求しないことにします。あとは生コン工場から荷受けするときにチェックとしましょう。現場監督S氏には基礎のコンクリート打設についてさらにいくつかメールで質問を送ってあります。いずれその回答も掲載しましょう。
【参考1】
鉄筋は工場で製造されるときにサビの防止のために表面をうっすらとオイルびきしてあります。これを嫌う施主はムリヤリ施工業者にスチールブラシで研磨させるということもあるらしいです(実際に効果があるかどうかはわかりませんが)。少しのサビが表面にうっすらとあるほうがむしろコンクリートの付きが良いという話も聞いたことがあります。
【参考2】
上記の蛇行した配筋壁については後日かぶり厚を計測したところ最低部分で3cm程度でした。公庫の標準などが4cmとしても約1cmのかぶり厚が足りません。T型の接続部分なので叩いて修正できないほど強固に結束・ロウ付けされています。今後の施工に注目します。
【オマケ】 現場近くの他のハウスメーカー2社の配筋作業の例も掲載します。木造なので単純に鉄筋コンクリート住宅と比較はできませんが、よく観察するとハウスメーカー(施工業者というべきか)によってけっこう違いがあったりします。
【例1】:ここはベタ基礎で2x4の木造パネル工法とのこと。
【例2】:こちらも木造住宅です。我が家と同じぐらい深い基礎です。
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