■ かぶり厚に問題有り
2006.1.20(金)
夕方現場へ。基礎前面(深基礎)の外枠に鋼管が付いて補強されています。外周のすべての外枠につっかい棒が打たれて固定してあります。メジャーで計ってみると北側の壁のかぶり厚が薄いです。以前監督さんや監理会社のM氏に指摘した南側の蛇行もそのままの状態。現在は打設を待っている状態と聞いていましたが、よく見たらスペーサも装着されていません。
本来なら大成建設の設計が描いた「基礎標準詳細図」の外周部配筋要領によると以下のようになっていなければなりません。2本平行な鉄筋はコンクリートが内側にも外側にも5cmのかぶり厚(鉄筋の外側から型枠面までの長さ)であるべきです。監理会社のM氏の話では公庫物件では3cm〜4cmでも可ということですが大成建設の内規では5cmとなっています。以下に説明図を示します。
実際にメジャーで計測してみるといくつかの箇所でかぶり厚に疑問があります。とくに顕著なものをA, B, C の3点挙げてみます。以下の図を御覧あれ。以下の修正後の図を御覧あれ(ダブルの配筋のうち壁面に近いほう[主筋] だけを描いてあります)。誰がどう見てもかぶり厚に問題があります。A点とB点では50mmを大幅に下回る薄さであり、逆にC点では80mmで広すぎて内側が20mmになる恐れがあります。率直なところ配筋については非常に雑な仕事ぶりです。
A点:北側 T 締結部
B点:南側最薄部分
C点:南側の深基礎近く
現場を上記のとおりチェックしたのち、さっそく大成建設のS監督へ電話して現状を報告しました。それならということで明日には現場を確認するとの返事です。この日はいくつかの懸案事項をS監督及び監理のM氏に確認しました(下記参照)。
・打設時期が雪のため1/26へ延期。
・S監督いわく水ガラス塗料は現在調査中だが、見つからないときはフッ素系かシリコン系の塗料でどうかと。表面の乾燥を抑える目的なら型枠を6日間組んで囲んでいるので強度は充分確保できて水ガラス塗装しても差が無いのでは?という見解。私としては水ガラス塗料が見つからなかったらフッ素系塗料を塗ってくださいと頼みました。保護にはなるし、ある程度の過乾燥や酸性雨を防ぐ効果はあるだろうと思ったからです。型枠を解体したのち埋め戻し前になんらかの塗料を塗っていただけるとの返事でした。
・建築監理耐震診断協会のM氏に電話しました。雪のため打設日変更を確認。公庫基準ではコンクリートのかぶり厚は3cm〜4cmとのこと。1〜2cmで爆裂を起こすことが多い。下げ振りで垂直を出すべきだが今回の配筋作業では使っていないようです。一般の住宅には見られないような素晴らしい墨出しに対して鉄筋の施工は悪いとのこと。施工は現場監督の責任である。などの意見をもらいました。
【水ガラスは一般的ではない?】
大成建設S監督も監理会社のM氏も水ガラス(ケイ酸ソーダ)系の塗料を基礎に塗ることを御存知ではなかったようです。私は困ってしまいました。文献や施工例を広範囲に調査したつもりでしたが現場に長年携わっておられる方々から「水ガラスを塗布するとはどういうこと?」という反応を予測しなかったからです。これはライブドア風にいえば想定の範囲外です。以外でした。さて、どうしましょ?
2006.1.21(土)雪 気温1度
やはり雪になりました。耐圧盤(ベース)のコンクリート打設は延期して正解だったようです。天気予報によると明日は氷点下の寒い日で関東の広域で凍結するようです。解けた雪が凍ります。
・大成建設のS監督へ電話しました。今日は雪のため現場には行っていない、月曜に行くとのこと。
2006.1.23(月)晴れ 気温1度
・大成建設の設計のH氏に電話して基礎の状況を相談してみました。18mmのかぶり厚について......「ありえない」、「なおすべき」とのこと。そりゃそうですよねぇ.....。
・再び現場へ行ってみました。雪が残っています。大成建設のS監督もちょうど現場へ来ており、私もS監督もそれぞれ基礎のかぶり厚を測って確認しました。S監督によると基礎の中心からはおおむね95mmを確保しているものの、指摘したA,B,C点についてはやはり「薄い」との結論。私が図面と現場から読みとった限りではスターラップ(ループ状の鉄筋)は工場生産品で正確に幅100mmです。型枠の壁面から配筋中央まで正確に95mm確保されていればかぶり厚が18mmになることはあり得ません。いずれにせよかぶり厚不足を認めていただきました。そして耐盤のコンクリート打設1/26に間に合うように修正を間に合わせるとのことです。
【工事停止の警告】
・S監督に対しては前日1/25(水)までに配筋のかぶり厚がなおっていなかったら工事を止める、と宣言しておきました。
2006.1.24(火)
【監理罷免の警告】
・建築監理耐震診断協会のM氏に電話。S監督へ指示した同内容の修正箇所を伝え、水曜までに是正されていなければコンクリート打設させないよう指示しました。打設予定日1/26は引越のため施主である私が立ち会えないのです。そのままコンクリート打設を強行されると取り返しがつきません。そのため監理会社のM氏が施主に代わって監理の権限を発揮して欲しいのです。「その役割を果たさない場合は明日から御社を雇わない。なんのために監理会社を入れているか意味がない。」と伝えておきました。今まで配筋に問題箇所があるにもかかわらず監督から具体的な回答を未だに回収して施主に報告していないことも理由のひとつです。
私は大成建設のS監督とも第三者監理会社のM氏とも関係を悪化させることを望んでいません。ですからいちいち彼らの仕事ぶりについてケチを付けたくはないのです。しかし、基礎工事は行われたあとにやりなおしが容易にできるものではありません。あとから後悔もしたくありません。ですから、ここはあえてイヤな施主になります。そうしてでも納得のいく家造りがしたいのです。これだけやってあとで問題が出たなら仕方がありません。S監督とM氏にはなにとぞ御理解いただきたいと思います。スイマセンねぇ.....(ウルサイ施主ですねぇ...私って)
【オマケ1:お役所の見解】
当該地域の建築指導課の審査係へ電話してみました。基礎の配筋やかぶり厚の現状を説明しました。それによると、
配筋の是正がなされない場合は施主(建築主)が工事の中止を命じるべきであり、行政は建築後の不具合についてしか指導できないとのこと。建築前の申請内容と完成したあとの検査は行政の建築指導課が目を見張るし是正もさせるが工事中は施工業者/メーカーの監理が責任をもって施工するのが原則であり紳士協定。もし是正されないまま打設された場合は民事に基づく損害賠償を起こすという手段になります。
とのこと....(それじゃ遅いっての!)。
紳士協定のおかげで施工中はその業者は保護されているようなものです。メーカーの監理者を私はまだ一度も見たことがありませんがその事実上の代理が現場監督なのだと考えています。また、第三者監理は事後報告で工事の説明をしてほしいために雇っているのではありません、トラブルを未然に防ぐために雇っています。施工中に監督も監理も具体的な指導を徹底できないというのはおかしな話ではありませんか? 施工内容が保証されない現在の業界の仕組みでは欠陥住宅や問題を持った建物が生まれても当然といえます。あきれてしまいました。
家右衛門の主張: 「明らかな問題があるなら施主権限で迷わず工事を止めましょう。」
【オマケ2:よその例】
このページを読んだ皆さんは工事のミスは珍しいことでめったに起こらず、まして自分の家は問題ないと思われるでしょう。でも実際には驚くほど頻繁に起こっていることなのです。事実、我が家の近く(同じ分譲地内)の建築現場のひとつでは大手ハウスメーカーが配筋を間違えていました。その家は第三者監理を雇っていたので誤りを指摘し、問題箇所の鉄筋を切断して除去し、やりなおしていました。修正されたのは幸いです。指摘がなければそのまま工事を続けて仕上げで外観をつくろってしまうでしょう。
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