■ 第三者による検査
「家は3回作らないとわからない」などと言う人もいますが、冗談じゃありません。そんなお金ありません。でも私の母方の叔父N氏は4回家を建てています(お金持ちには見えないが、どうして?)。かくいう私は一度は建売住宅を新築で購入し、それを売却して今度は注文住宅を建てるのですが、叔父に対抗してあと5回ぐらい建ててやろうかとたくらんでいます。←無理
私の同僚で建築を教授した経験のあるT氏は「マンションは全国の1/3が欠陥」と言いました。最近の姉歯設計のような強度偽装問題が浮上するずっと前のことです。2004年頃から次々と発覚した耐震強度偽装事件では設計士や販売店もさることながら建造物の審査が骨抜きとなって問題になったわけです。もちろんコスト調整という観点から見ればマンションに限らず一戸建ても例外ではないでしょう。信用できる検査機関や制度が作用していない今日において今から家を建てようという皆さんにとっては「マズイ施工があったらどうすればいいの?」という現状です。
私の趣味の友人で不動産系の仕事をしているH氏は「第三者の監理は不可欠」と言います。
それってお金かかるんでしょ?高いんですか?ときくと「最近は監理の回数や程度によって費用を選べるところがありますし、一般住宅でも第三者監理を利用している人はいますよ。こんな世の中ですから。」とのこと。
また、個人的に付き合いのある某監理会社の社員は「営業が、我が社は社内検査で充分 第三者監理など不要でお金の無駄です。と言うならむしろ絶対疑うべき。」とも語っています。また、私の知人で某大手ゼネコンの社員は「現場は見てなければ何でもやるよ」と申しておりました。
私たちは家作りのプロではありませんから付焼刃で勉強しても限度はあります。また、無知がゆえの失敗、中途半端に知っているがゆえのトラブルも起こり得るのです。それで私は今回、第三者監理を雇いました。大成建設の社内検査を疑っているわけではありませんが施工現場の間違いや勘違いというのは想定外で起こるものです。実際、私の家の配筋検査では間違いが見つかりました(詳細は建築記録のコーナーに掲載予定)。 屋内工事でも間違いがあり、修正してもらいました。
ハウスメーカーや工務店は広告費用など直接施工にかかわる費用以外にも多大な出費があります。コスト意識は大事ですね。そして現場に携わる職人のなかには建築の知識や経験の無いアルバイトのような人たちもいるのです。建築業者の瑕疵担保責任の制度ができたのもごく最近のことです。運にまかせるのもいいでしょう。しかし私は迷わず第三者の検査機関を使います。 結果からいえば、家づくりのトラブルに現場で対処してもらって心強かったですし、あれこれ建築のことを学ぶことができたのも収穫でした。
■ イイところワルイところ
「悪いところは改めさせる、良いところは誉める。」これは我が家の建築にあたって監理を担当してもらったT氏の言葉です。第三者監理の会社は建設現場に近いほうが良いと考えて選んだ多摩地区の検査会社です。費用を払って雇うのは私ですが、可能な限り中立の立場でプロジェクトを監理していただきたい。と御願いしました。施主のワガママを通すのが目的ではなく建物の正しい姿を求めるのが目的だと思うからです。
また、あえて第三者監理を用いたもうひとつの理由は家を建てる過程を勉強したかったからです。それは将来の補修やリフォームを見越してのことです。いろいろと教えてもらいました。構造や建築基準法の話も聞いていてためになりますが、むしろ現場の経験的な話が聞けるのは意義深いです。私は家づくりは施主参加型のプロジェクトと考えていますし、なにより自分の家が建っていく過程を自分で確認しながらその記録をとっておきたかったのです。広い意味で住まい作りを学び楽しむ良い機会でもあります。家造りを堪能しますっ!..... 現場で邪魔にならない程度に .... 。
■ 見積書をどう見たらよいのか?
ハウスメーカー大成建設ハウジングとの本契約の前に第三者監理会社のT氏にその見積書を見てもらいました。図面と工事内容や設備などにひととおり目をとおしてもらって見積書の内容が妥当なものであるかどうかを確認してもらうわけです。おそらく家を建てる多くの人が施工内容だけでなく費用についても多少なりとも不安を持つでしょう。我々のような一般の施主は建築技術や設備や相場というものを詳細に理解していませんし、資材は価格の変動もあります。ハウスメーカー独自の工事や工法もあるのでなおさらです。パルコンの場合も構造や施工方法は年を経るごとに変化があります。
また、第三者監理会社のT氏には大成建設との本契約のときにも立ち会ってもらい(新宿のビルに入っている大成建設ハウジングにて)、契約書の内容をひととおり読んでいただいて、図面もすべてチェックしてもらいました。おそらくハウスメーカー側からみると「なんでいちいち監理会社を介するのか?」と思われるかもしれません。しかし、専門的内容を集積した図面と高額な見積書を精査するということについて、少なからず施主は不安を持っていると察してほしいものです。今回、監理会社のT氏とM氏には頻繁に電話や面談や現場立会いで数え切れないほどお世話になりました。おかげで納得のいく契約と工事を進められたのだと感じています。
■ 現場監督は忙しいのだ
今回、もうひとつ幸運だったのは、ハウスメーカーの現場管理(大成建設の現場監督)のS氏がとても丁寧に説明してくれたという点です。実際、基礎の配筋に誤りが見つかった時にも原因と状況と是正についてテキパキと対処してくれました。メールで質問したときも10日間ほどブランクがありましたがちゃんとまとめて丁寧に回答を頂いています。ハウスメーカーの現場監督はかなり多忙らしく、今回S氏は同時期に約12箇所の現場をかけもちするそうです。普通の人間ならパニック状態でしょう(ちゃんとシゴトしてるなら)。施主のなかには理不尽な注文をつける人もいるでしょうに ... 。ウチだけ監督してくれればいいのになぁ(笑)←みんなそう思うでしょ? ハウスメーカーに限らず現場監督の掛け持ちはアタリマエと考えたほうがいいです。つまり、現場に現れる日は限られるということも、第三者監理を雇う理由のひとつでした。
しかし今回S監督は多忙にもかかわらず、現場で顔を合わせるときはいつも丁寧な対応でわかりやすく説明してくれました(経過はサイトに掲載)。途中でS監督が過労で倒れないことを祈りつつ建築記録を書きました..... 。
※ このページの記事は2005年に書いたものです。 2016年に一部の現在進行形の文章を過去形に修正しました。
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